FF8で歌が入り、FF10ではついに声(ボイス)が入った。
FF8でその予兆があり、FF10でついにその終焉が来たのだ。
ちなみにFF9は覚えてない。無かったと思うけど・・・。

思うに、坂口氏が「声を使わない」と言ったのは、
単にイメージだとか制作理念だとか趣味嗜好だとかじゃなく、
明確な意図があるように思われる。それはFFの衰退が物語っている。

声というのはリアルである。
FF6のような機械音とか合成とかではなく「本物」である。
本物であるが故に、ゲームのリアリティーは格段に上がる。

だが、ゲームという仮想現実において、突出したリアルは逆に毒になる。
空想の世界を飛び回るはずが、現実を突きつけられて
ほうきは浮力を失い墜落する。

FCやSFCのドット絵の時代が、懐古厨などと呼ばれつつも
愛されているのは、そこに余地があったから・・・というのはご存知の通りだ。
ファンタジーとは思いを馳せるものなのだ。想像するものなのだ。

コンピューターゲームもといRPGとは、
ゲームそのものだけでなく、プレイヤーがプレイして、
プレイヤーが想像をして、初めて「完成」する。

既に「完成された」作品を突きつけられても、
RPGは成り立たないのだ。そういうのは映画などのほかの分野に任せればいい。
※もちろん映画などにも想像の余地はあるが、ゲームの比ではない。

ご存知の通り、ゲームとは記号である。
映画のようなグラフィックなど、本来必要無い。
それどころか、ゲームの本質とは逆行している行為なのだ。

だから「声は入れない」なのだ。
行き過ぎたリアルはファンタジーを殺す。



坂口氏が離れた。ボイスが入った。そしてFFは死んだ。

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